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康二くん────向井先生とは、最初は本当に何もなかった。
正確に言えば、わたしの単なる片想い。
高校生の青春によくある、先生への憧れにも近いような恋未満のような感情だけだった。
「テスト返すでーほら出席番号順やから早く来い！そこでボケんでええねん！」
関西の学校だからといって関西弁の人が多いわけではないんだけれど、向井先生はコテコテの関西弁を操る面白い先生としてみんなから人気だった。
「お、A今回頑張ったやん」
「え？」
「はい、おめでとさん」
95点と書かれた解答用紙が返却されると同時に、先生の手が頭に乗せられて。
「はー？！先生ずるい！あたしにもしてよー」
「何言うとんねん、高橋は赤点やったやろ！」
「先生俺は？俺は？90点だったんだけど」
「なんで男に俺がせえへんといけんねん」
「Aいいなー！わたしも地理がんばろっかな」
元々地理は受験に使うつもりで真面目に勉強していたし、特段向井先生だから頑張ろうだとかそういう気持ちではなかった。
けど、こんなことされたら多かれ少なかれある種の意識はしてしまうのが女子高校生というものなんじゃ、ないんだろうか。
少なくともわたしは、この先生のたった一回の頭なでなでに一発ノックアウトされてしまった。
都合が良いから、質問と言いながら社会科室に行く頻度が少しずつ増えて、授業終わりに話をすることも増えた。
でも別に、誰もいない空間で...とか、夜遅くまでいたら閉じ込められちゃった？！みたいな少女マンガ的展開はない。当たり前だけど。
テストで良い点を取ったら、頭を撫でてもらえるだけ。
それで十分だった、のに。
その線引きを誤ってしまったのは、いつだったか...
いや、本当ははっきりと覚えている。
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灯莉(プロフ) - レモンさん» レモンさんはじめまして。最初からの読者様なんですね！ドラキュラ舘様、一本目ということもあってわたしも思い入れがあるストーリーなので嬉しいです。ありがとうございます(o´艸`) (4月20日 0時) (
レス) id: 0a43491d63 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - そして新作も楽しみです。 (4月19日 23時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 灯莉さんはじめまして。最初から読ませて頂きました。どのお話にもいろんな愛の形があるんだなぁと思いました。私は舘様のドラキュラのお話が大好きです。その後夢主ちゃんはどうなったのかも気になります。 (4月19日 23時) (レス) @page38 id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灯莉 | 作成日時：2024年3月25日 21時
